大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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兵庫県立大学   社会に向けた学修成果の可視化:大学での学修の理解促進を目指して

テーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」

事業期間:2016年度~2019年度

【取組の概要】

 本学では、環境人間学部を先導的モデル事業主体として位置づけ、取組の成果を全学展開する。卒業時における質保証のために、全学ディプロマポリシーおよび環境人間学部ディプロマポリシーに基づく13の力を、授業科目等を通じてどれだけ身に着けたのかを評価する指標や、個々の学生の具体的学修内容を可視化するための手法を開発する。手法の開発に際し、学外の多様な人材からの助言を取り入れる機会を多く設けている。それを支えるための主な取組として、次の4つが挙げられる。①ディプロマポリシー(以下、DP)に基づいたルーブリックの開発、②ルーブリックを基にした授業科目の評価指標の作成、③学生が自身の学びを蓄積する、WEBポートフォリオの開発と運用、④個々の学生の具体的学修内容を可視化する学修履歴証明書の開発

【取組のポイント】

➢ディプロマポリシーに基づくルーブリックの開発
➢ルーブリックを基にした授業科目の評価指標の作成
➢学生が自身の学びを蓄積するWEBポートフォリオ「Myログ-自分デザインサポートシステム-」の開発・運用
➢個々の学生の具体的学修内容を可視化する学修履歴証明書の開発
➢学外の多様な人材との協働による取組の推進
【キーワード】
「大学での学修の理解促進」、「評価指標」、「学外の多様な人材との協働」

【人材育成目標】

 兵庫県立大学では、豊かな人間性と公共の精神とともに、幅広い教養や専門知識・技能を含めた課題探究能力とグローバル・リテラシー(国際対話能力)を備えた、兵庫県をはじめとする地域や国際社会で活躍できる創造力と自律性を有する人材の育成を目標としている。モデル学部の環境人間学部では、環境に関わる科学技術、生活技術、社会構築技術などの技術学と環境政策など環境に関する政策学を、人間学を基軸として考究するとともに、環境に関する識見をもち、環境問題に関しての思想的な発信と環境と共生する人間性を育む文化の創造を担う人材、および、自然と人間の共生の実現について多面的な視点から思考し、持続的な社会の発展に資する企画力と実践力(問題解決能力)を備えた人材の育成を目指す。

【教育上の課題】

 大学の授業等での学生の具体的学修内容や、それを通じて、どのような技能を身につけているのかを社会に対して提示する機会が少なかった。特に、環境人間学部のような学際的な学部はそれらが伝わりにくい。

【これまでの取組、実績・成果】

(1)養成する力の整備、評価指標の開発
●これまでの取組:全学DPと学部DPに基づき、養成する力を13の力として定義し、5段階のルーブリックを開発した。ルーブリックを基に、必修科目のうち少人数制をとる科目を対象に、授業評価指標の検討を行った。
●実績・成果:評価指標を明示することにより、成績証明書だけでは
分からない、各科目でどのような力がどのレベルまで身についている
(と評価している)のかを説明できると考えている。また、教員や学生
が目標と評価に関する共通の認識を持つことが期待できる。
(2)企業に対するヒアリング
●これまでの取組:企業へのヒアリングから、「採用面接時に、大学で学んだことが分かりにくい」という意見があった。
●実績・成果:企業の採用担当者らが面接時に活用できる、大学で
の学修に関する資料の必要性が明らかとなった。
(3)WEBポートフォリオの開発・運用
●これまでの取組:「Myログ-自分デザインサポートシステム-」を開発し、機能の1つに「ラーニング・ログ」をつけた。本機能は、学生が大学の授業等で課された課題を提出した際に、教員から受領確認サイン
が発行される仕組みになっている。
●実績・成果:Myログ-自分デザインサポートシステム-は2017年4月、 
ラーニング・ログは2018年4月~、学生が活用を開始している。
(4)学修履歴証明書の開発
●これまでの取組:(2)のヒアリングの結果を受け、社会に向けた学修成果の可視化に関する資料として、学修履歴証明書を作成した。本証明書は(3)のラーニング・ログ機能にて、教員から提出を認められた課題の、科目名・タイトル等を一覧化して発行するものである。本証明書は、学生が就職活動をする際、履歴書やエントリーシートと一緒に提出することを想定している。

【今後の取組の計画】

 ルーブリックを基にした授業科目の評価指標を提示する、「成績証明書補足資料」について検討する。この資料は、企業等の採用担当者らに、各科目においてどのような力をどのように評価しているかを理解してもらうためのものである。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●ディプロマポリシーに基づいたルーブリック、および、授業科目における評価指標は、他大学でも参考にすることができる。
●学修履歴証明書の開発は、大学での学修の理解を促進する方法として、先駆的な取組と言える。また、本証明書は企業の採用担当者等の意見を取り入れながら開発を行ったため、採用時に有効活用されることが期待できる。

【本取組の質を保証する仕組み】

 取組を推進するにあたり、学外の多様な人材との協働による助言・評価の仕組みを構築した。すなわち、高校の進路指導教員、卒業生の就職先等の関係者、本学の教職員AP委員、本学大学院生・学部生代表者で構成されたAP事業評価委員会を設置し、年1~2回の意見交換を行い、本取組の点検・評価に取り組んでいる。
 また、学修履歴証明書を開発するに当たり、企業の採用担当者等にヒアリングを行い、証明書の記載内容等の改善を図っている。
 さらに、パンフレット、ホームページ、シンポジウム、学会等を通じて、本学のAP事業の取組について情報発信を行ってきた。こうした情報発信により、高校、企業、アカデミックな領域の専門家等から得られた意見を基に、取組改善に努めている。
具体的な実施計画における指標 2016年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
学生の成績評価(GPA平均) 2.58 2.6 3.0
進路決定の割合 99.4% 98% 96%
事業計画に参画する教員の割合 100% 100% 100%
質保証に関するFD・SDの参加率 75% 84% 100%
卒業生追跡調査の実施率 71% 90% 50%