大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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鹿屋体育大学   体育系大学における学修成果の可視化と卒業時における質保証の取組の強化

テーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」

事業期間:2016年度~2019年度

【取組の概要】

 本取組は、本学の教育ミッションである「スポーツ・武道及び体育・健康づくりにおける実践的かつ創造的で市民性、国際性を備えたリーダーを育てる」ために、教育企画・評価室を柱に「卒業時における質保証の取組の強化」を全学的に行うものである。特に、ディプロマ・ポリシーを担保する「多様なスポーツリーダーとしての自覚と実践的なスポーツ指導力の養成」と「段階的かつ継続的なライフ・キャリアデザイン力と社会人基礎力(汎用的能力)の養成」の状況を、学修行動や学修成果の可視化から確認し、継続的に教育改善が行える教学システムを確立することを目指している。さらに、「スポーツ指導者の基礎的な資質を評価するテスト(理想的な指導者を基本としたプロフィール型テスト)」を開発し、スポーツ指導者養成団体や大学等において広く活用されることを目指す。

【取組のポイント】

➢科目群毎に加え、ディプロマ・ポリシー (DP)で目指す12の資質・能力別の修得度を授業の成績評価(GPA)を活用して可視化する。 
➢「汎用的能力」はPROGテストで、「スポーツ指導力」はプロフィール型テスト: SCCOTで、「学修行動」は授業振り返りアンケートで可視化する。
➢「学修ポートフォリオ(NIFSpass)」を構築し、運用する。
➢教育改善に向けた教学マネジメント機能を強化する。
【キーワード】
「学修成果等の可視化」、「学修ポートフォリオ」、「教学マネジメント機能の強化」、「プロフィール型テスト(SCCOT)」

【人材育成目標】

 鹿屋体育大学では、教育理念として、学生ひとりひとりを大切にし、スポーツ・武道及び身体運動を基盤とした理論と実践の往還による教育を通じて豊かな教養と専門的能力を授け、スポーツ・武道における学術・文化の発展と国民の体力・健康増進に貢献し、もって健全で明るく活力に満ちた社会の形成に寄与できる実践的かつ創造的で市民性、国際性を備えたリーダーを養成することを目指している。これに沿ってDP、教育目標、カリキュラム・ポリシー(CP)及びアドミッション・ポリシー(AP)を整備し、人材育成を展開している。

【教育上の課題】

 本学は、大学教育改革の取組として、DP ・CP・AP等の整備を進めてきた。しかし、DPで目指す「実践的なスポーツ指導力」と「社会人基礎力(汎用的能力)」が卒業時までにどの程度身についているかなど、学修成果や学修行動の可視化について体系的に十分行えていなかった。さらに、これらの専門的及び汎用的な資質・能力を可視化し、可視化した情報を活用し、学修や教育改善を進める環境作りも不十分であった。
 そこで、本取組では学修成果等の可視化、学修や教育改善を推し進める教学マネジメント機能の強化と環境整備を図り、本学が目指す人材育成、卒業時の質保証を目指す。

【これまでの取組、実績・成果】

 卒業時の質保証に向け、DPで目指す「実践的なスポーツ指導力」と「汎用的能力」に関する学修成果の可視化と学生による学修の振り返り・改善を行う仕組み「学修ポートフォリオ(NIFSpass)」を構築した。
 学修成果の可視化と振り返り・改善は、2つの方式で行うこととした。一つは、学期ごとに授業の成績評価(GPA)を活用して科目群毎やDPで目指す12の資質・能力別の修得度を可視化して行う方式とした。もう一つは、入学時と3年次後期に「スポーツ指導力」をSCCOTにおいて、「汎用的能力」をPROGテストにおいて、達成度を可視化した。なお、スポーツ指導力の可視化のために、本取組ではSCCOT(Sports Coaching Competency Test)を開発した。
 全学的な学修や教育改善を強く推し進めるために、大学の運営企画等を検討する「運営企画会議」に教育企画・評価室長を参画できるようにした。
 右図は「学修ポートフォリオ」を示したものである。授業の成績評価による科目群とDPで目指す12の資質・能力別の修得度と学生が記入した振り返り・改善策が表示されている。
<実績・成果>
・「授業の成績評価によるDPで目指す12の資質・能力等の修得度」、「汎用的能力」、「スポーツ指導力」の学修成果の可視化
・「学修ポートフォリオ(NIFSpass)」の構築と運用
・「スポーツ指導力テスト(SCCOT)」の開発
・「授業振り返りアンケート」を活用した教育改善の導入

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 課外活動を含めた学生の学修成果の可視化、学修ポートフォリオによる学生の学修改善行動の充実・定着を図る。また、学修改善に対する小クラス及びゼミナール指導教員の支援体制を整備する。加えて、学修成果等の可視化情報を活用した教育改善のための分析・評価を充実させるとともに、教育改善サイクルを定着させる。
 また、卒業時に学生の学修成果を総括する「卒業時学修到達レポート(仮称)」を作成・配布する。
 なお、教育改革の進捗状況を学外へ情報発信するため、ホームページで定期的に掲載する。最終年度には、これまでの取組と成果、今後の改善点を報告書にまとめ、情報発信する。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

・授業の成績評価とDPで目指す資質・能力を紐付け可視化することで、教育と学修を密接に往還させ、学修・教育の改善を円滑に図ることが出来る。
・SCCOTの普及により、スポーツ指導者の資質・能力の可視化(下図)、さらには、倫理観のある(暴力・体罰等を行わない)スポーツ指導者の研修や養成が可能となる。

【本取組の質を保証する仕組み】

・学修成果の可視化における客観性担保のために、汎用的能力は外部テスト(リアセック社のPROGテスト)を活用している。また、スポーツ指導力テスト(SCCOT)は、テスト開発業者(リアセック社)と外部評価委員とも協力し、1,000人以上の基礎調査(スポーツ指導関係者:約500人、体育専攻学生約500人)により開発を行い、そのテストの妥当性・信頼性を担保している。
・授業の成績評価を活用したDPで目指す12の資質・能力別の修得度の可視化では、授業科目と資質・能力との対応関係について授業担当者との合議により設定を行った。さらに、「授業振り返りアンケート」を活用し、学生の修得要素を確認し、授業科目と資質・能力の対応関係の調整や授業改善を図ることとしている。
・卒業生(卒後3年、10年の者を対象とする)アンケート調査を毎年実施し、大学教育の短・長期的な教育効果や満足度、さらに改善点を確認し、教育改善が行えるようにしている。今後は、就職先等への調査も予定している。
・本取組の評価は、専門知識を有した大学教員やスポーツ指導者養成団体関係者、及び必修科目「スポーツ指導実習」の実習先のステークホルダー(民間団体・産業界等)を外部評価委員として委嘱し、事業計画に基づく進捗状況の確認・評価、教育の質保証に向けた取組に対する示唆を得ることとしている。
具体的な実施計画における指標 2016年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
学生の授業外学修時間(1週間あたり) 5.2h(4.5h) 2.8h 8.0h
事業計画に参画する教員の割合 97% 90% 90%
「大学教育に満足している」学生の割合 87.7% 93% 90%以上
学修ポートフォリオの利用率 0% 81.8% 95%
進路決定の割合 92.5% 96.9% 95%
学生の成績評価(GPA平均) 2.58 2.62 2.70
学修到達度調査の実施率(汎用的能力) 48% 79.8% 100%
学修到達度調査の実施率(スポーツ指導力) 25% 60% 100%
質保証に関するFD・SDの参加率 97% 90% 90%
卒業生追跡調査の実施率 0% 18.3% 20%