浜松学院大学 リーダーシップ育成プログラムとしてのAP長期学外学修プログラム(ギャップイヤー): 事業の完成年度後を見据えた活動
テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」
事業期間:2015年度~2019年度
【取組の概要】
本取組「DiCoResプラス」は、学事暦を変更し、長期学外学修期間を設定することによって、全学生を対象に長期フィールド・スタディを実施するものである。フィリピン・ダバオ市、浜松市北遠地域、東北被災地の基礎フィールドスタディに加えて、学生の主体性重視の応用フィールド・スタディも実施する。本取組では、参加した長期フィールド・スタディにおける学修活動のラーニング・アウトカムの指標を明確化し、向上を重視する。また、学修の評価基準として「社会人基礎能力」を活用した大学独自のルーブリックの構築に加え、参加学生のGPAの推移及び他の学生との差異を測定する。さらには、参加学生、教職員に関わる全てのデータを集積・測定し、分析結果を教育・研究、学生支援、経営等に活用し教学マネジメントの学内浸透を図る一方、地域課題や社会的ニーズに則した教育カリキュラムへの質的変換を実現させるものである。
【取組のポイント】
➢学修支援プログラムとしてeポートフォリオの活用
➢地域の課題に向き合うアクティブ・ラーニング
➢アウトプットとしての学生活動の継続・発展
【キーワード】
「地域課題」、「PBL型」、「アクティブ・ラーニング」、「長期学外学修」
【人材育成目標】
浜松学院大学の母体である興誠学園の建学の精神は「誠の精神」である。2004年に開学した浜松学院大学は、中・高・大一貫教育を目指し、付属幼稚園、付属こども園を含む総合学園の中核として、「高潔なる倫理観に立って、他を思いやることができる真に豊かな人間性を基礎に、変化に対応できる創造力と実践力を身につけた職業人の育成」を受け継いでいる。
浜松学院大学は、1学部(現代コミュニケーション学部)2学科(地域共創学科・子どもコミュニケーション学科)から構成されている。地域共創学科では、地域社会における「共創」について、コミュニケーションを基礎に教育・研究し、地域のなかで実質的な役割を遂行できる人材を養成することを目的としており、2016年度に3専攻に再編された(地域政策専攻、観光ツーリズム専攻、グローバルコミュニケーション専攻)。子どもコミュニケーション学科では、時代・地域のニーズに応えられる教育者・保育者を養成することを目的とし、2専攻を設置している(初等教育専攻、幼児教育・保育専攻)。
【教育上の課題】
学生の授業外学修時間や学生が企画する活動数等において2016年度まで目標値を下回っていた。回復策として、2017年度からは、学科によるフィールドを限定する履修制限をなくし、プログラムの選択肢を広げた。学生企画の活動数を回復させるには、長期学外学修の基礎プログラムのフィールドが持つ教育力向上が重要と考えている。基礎プログラムが求心力となり学生自主企画のプログラムの活動数の増加に寄与するからである。そのためには、基礎プログラムにおける学生たちの活動により、地域活性化の進展が十分に可視化でき、学生たちに、より魅力的に映るように発展させる必要がある。そのことが、学生のフィールドに対するさらなる愛着と献身の促進や動機付けの強化が目標値へとつながると考える。
【これまでの取組、実績・成果】
<取組>
中心になる取組について
取組の中心である北遠フィールドスタディ及びダバオ市フィールドスタディの二つのプログラムにおいて充実を図っている。2017年度の北遠フィールドスタディでは、年間を通じてフィールド先である浜松市所有の遊休施設「勝坂神楽茶屋」の営業及び耕作放棄地での農作物栽培を実現した。さらに、地域課題の取組みの一環として、児童・生徒を対象としたスタディ・ツアーを実施した。一方、ダバオ市フィールドスタディでは、ミンダナオ島の戒厳令によりフィールドへの派遣が延期となっているが、そのような現状においても、浜松とダバオ市間での関係を深化させるICT教育の実現に努力している。
学内の実施体制について
本取組の運営主体はAP委員会であり、事業担当者(学部長)を始め、基礎プログラムの「長期学外学修」、「事前学修」、「事後学修」の担当教員(8人)、発展プログラムの担当教員(3人)、AP事業専門員(2人)、学修評価委員(2人)、広報(2人)から構成され、月に1度、学長が同席して会議を開催している。また、本取組での教学上の成果を踏まえ、教育改革の具体的方針を取りまとめる大学企画調整室を設置し、大学教育改革委員会の会議で協議・報告をしている。
<実績・成果>
学修成果の可視化については、学内や地域での成果報告会を開催することで、引き続き普及に努力していく。学生のフィールド活動の報告に加えて、教職員を対象として協働学修を目的としたPBL型のアクティブ・ラーニングの授業の作り方に関する報告を実施する。
【今後の取組の計画】
本取組の北遠フィールドスタディ及びダバオ市フィールドスタディの実施に関する協定を継続することで、本取組の実施科目である「長期学外学修」「事前学修」「事後学修」も引き続き実施していく。また、本取組を継続発展させた学生団体である「やまびこチャレンジ」、「浜松インターナショナルスクール」では、本取組の基礎プログラムを経験した受講生が、全く異なる視点によるイノベーティブな活動を導く推進役となっており、補助期間終了後も大学は発展を期待し、支援を継続していく。
やまびこチャレンジ(https://www.yamabiko-nlc.org):基礎プログラム(8月)終了後から発展プログラム(2月)までの期間にフィールドと関連した活動を牽引し、9月から12月まで勝坂神楽茶屋の営業を継続した(1月から3月までの冬季は路面凍結により茶屋は休業)。10月に収穫を終えた畑についても、勝坂神楽茶屋の開業期と同時期に草取り、土づくり、畝作りを続け、2018年度のAP事業での畑作業へつなぐことができた。
浜松インターナショナルスクール(https://www.his-ymis.org/):ダバオ市フィールドスタディの経験者が、2016年度に浜松市内に定住外国人の子どもを対象に浜松インターナショナルスクールを設立した。
浜松市内には、フィリピン共和国ダバオ市にルーツがある日系フィリピンの子どもが多く在住している。ダバオ市フィールドスタディにおける日系人の子どもたちや保護者との交流を通して、子どもたちの生育や成長、その背景や現状を学んだ学生は、浜松で多文化教育の活動を発展させている。
【本取組における成果と社会へのインパクト】
●高校・大学へのインパクト
本取組に関する成果報告会を開催することにより、他大学及び高校に対して、本事業の成果を普及することができた。
首都圏の大学から、中山間地域の活性化取組に対して、地域インターンシップを協働して実施したいとの提案及び視察があり、実施に向けて協議している。
●地域・自治体へのインパクト
新聞等マスメディアによる客観性の高い視点から多く取り上げられた(1年間平均10件)。地域において信頼性が高い事業また取組であることを、広く周知する事ができた。
大学と協働を目指す自治体から、問い合わせや資料請求がある。
●海外へのインパクト
フィリピン共和国ダバオ市教育局から、大学間のアクティブ・ラーニング等の共同研究の提案があり、本年度協議する予定である。
アメリカ合衆国フロリダ州立大学から、中山間地域の活性化取組における、交換留学の提案があった。2018年12月、フロリダ州立大学の担当者が来日し、本年度に交換留学に関する協定を締結し、フロリダ州の州立大学から学生をフィールドに受け入れる予定である。
【本取組の質を保証する仕組み】
本取組の運営主体はAP委員会であり、事業担当者(学部長)を始め、基礎プログラムである「長期学外学修」、「事前学修」、「事後学修」の担当教員(8人)、発展プログラムの担当教員(3人)、AP事業専門員(2人)、学修評価委員(2人)、広報(2人)から構成され、月に1度、学長が同席して会議を開催している。また、本取組での教学上の成果を踏まえ、教育改革の具体的方針を取りまとめる大学企画調整室を設置し、大学教育改革委員会の会議で協議・報告をしている。
具体的な実施計画における指標 |
2015年度
(起点)
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2017年度
(実績)
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2019年度
(目標)
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長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 |
N/A |
2.8% |
8.6% |
学生の授業外学修時間(週平均) |
3.44時間 |
3.43時間 |
5.5時間 |
社会人基礎力ルーブリック評価(5段階評価) |
N/A |
4.3 |
4.0 |
長期学外学修プログラムを経た学生の成績評価〔GPA平均〕 |
N/A |
2.67 |
2.8 |
本事業以外の各種プログラム参加学生数 |
409件 |
1065件 |
700件 |
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※長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 2017年度(実績)
ダバオ市フィールドスタディについて、ミンダナオ島戒厳令発令により、実施延期。同フィールドスタディ参加学生数は除く