文化学園大学 梅春学期の新設とその展開: ファッション分野における「グローバル創造力」を持った人材育成のためのプログラム
テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」
事業期間:2015年度~2019年度
【取組の概要】
クリエイティブ・ファッション分野はグローバル化が急がれる領域である。本学は、「新しい美と文化の創造」を建学の精神とし、日本国内にとどまらずグローバルに活躍できる人材の育成を目指している。このためには、グローバル意識を持たせるような教育が不可欠であり、大学入学後早期(1・2年次)に中長期にわたる異文化を知る海外学外学修や、我が国の伝統や文化を理解する国内学外研修が有効である。しかし、中長期期間をとり、カリキュラム化することは現在の学事暦では困難である。本取組においては、学事暦を考慮した上で、後期試験終了後(2月中旬)から春期休暇(3月中旬)までの期間の約1か月を「梅春学期」として新設する。本取組は、1年次及び2年次を中心に集中的な学外体験プログラムを提供し、3年次における、より専門的な学外学修プログラムに役立て、結果としてファッション分野における「グローバル創造力」を養成できるようにするものである。
【取組のポイント】
➢後期試験終了後(2月中旬)から春期休暇(3月中旬)までの期間の約1か月を「梅春学期」として新設
※学期名称は、梅が咲く時期に売り出される春服をファッション業界では「梅(うめ)春(はる)もの」と呼んでいることに因んでつけられたものである
➢1・2年次学生を対象とした約4週間の「梅春科目」によって「グローバル化」への気づきを与え、3年次後期に実施する約8週間の学外学修科目によって「グローバル創造力」を涵養するという段階的なプログラムを学生に提供している
➢本取組の推進・実行機関であるUSR推進室の全学的組織への改組
※USR : University Social Responsibility (大学の社会的責任)
【キーワード】
「グローバル創造力」、「梅春学期」、「国内外学外学修プログラム」
【人材育成目標】
本学では建学の精神である「新しい美と文化の創造」を基本において設定されている各学部学科の教育課程の目標を達成し、専門領域の体系的理論の理解と実践的表現力の修得によって、課題を発見し個性的かつ創造的に問題を解決する能力を備え、社会的に有用で自立可能な人材の育成を目標としている。
【教育上の課題】
ファッション教育のグローバル化が求められる現状において、グローバル化への対応の必要性を学生自身が体感し、主体的にグローバル意識を持ちながら様々な文化体験を通し、自文化や異文化を理解する能力を身につけることが求められる。これに関して、本学においては、(1)長期学外学修科目をカリキュラム化するにあたっての学事暦上の困難、(2)学外学修の機会の少なさ、という点が課題であった。
以上の課題を解決するために、学事暦の変更や学外学修プログラムの質的・量的な拡大が必要であった。
【これまでの取組、実績・成果】
<取組>
教育上の課題を解決することを目的に、以下の取組を行った。
第一に、2016年度より、後期試験終了後(2月中旬)から春期休暇(3月中旬)までの期間の約1か月を「梅春学期」として新設した。これによって、4週間の長期学外学修科目をカリキュラム化するにあたっての学事暦上の問題を解決した。
第二に、2016年度より「梅春学期」に実施する科目として「梅春科目」を新設し、服装学部・現代文化学部の学生を対象に開講した。さらに、2017年度より科目数を増やし、国内11科目(定員55人)・海外7科目(定員53人)の合計18科目(定員108人)と大幅に増やし量的な拡大を図った。
第三に、2017年度より「梅春科目」の履修対象学生に造形学部を加え、全学部学生の履修を可能とした。これによって、学外学修の機会の少なさという課題の解決を図った。
第四に、2017年度より、学外学修プログラムの実行機関である服装学部・現代文化学部USR推進室を文化学園大学USR推進室として全学的組織へと改組した。
第五に、経済的理由によって学外学修プログラムへの参加を見送る学生を減らすために、地方自治体等の補助金・助成金を活用し、参加学生の交通費や自治体・受入企業によっては宿泊費についても補助対象としてもらう等、学生の経済的負担を軽減する方策を講じている。
上記の取組により、学外学修プログラムの実施に関わる課題の解決を図った。
また、学外学修プログラムの学内での周知徹底のために、プログラムポスターの掲示や説明会の実施を行った。
さらに、学外への周知および取組に関する外部評価を得るために、2017年度に国内・海外学外学修プログラムの受け入れ先担当者を合計3名招聘し、「国際シンポジウム」を本学文化祭期間中に実施した。また、ファッションビジネス学会で報告を行い、外部評価を受けた。これらによって、より効果的な学修機会を提供し、取組を推進させるための改善につながる意見を得ることができた。
<実績・成果>
・「梅春学期」の新設による長期学外学修プログラムの実施体制の整備
・「梅春科目」の新設による長期学外学修プログラムの開発と実施
・長期学外学修プログラムの持続的実施を可能にする学内組織の改組
【今後の取組の計画】
<取組の計画>
事業終了後の継続的なプログラムの実施・発展に向けて、下記の取組を計画している。
本取組に関する主たる審議・決定機関である「APプログラム推進協議会」は、大学の常設委員会である「国際交流委員会」とほぼ同じ構成となっており、補助期間終了後は「国際交流委員会」が本取組を含め、大学の国際交流を推進していく体制にある。
また、本取組に携わる教員の組織である「AP対応ワーキンググループ」が置かれる「文化学園大学USR推進室」は、独自の予算を有する常設の機関であり、補助期間終了後も組織として存続することになっている。
さらに、「梅春科目」において学生評価の手法としてルーブリック評価を試験的に導入している。
【本取組における成果と社会へのインパクト】
グローバル化という世界の趨勢に対して良策を見いだせぬままでいるファッション産業に対して、「グローバル創造力」をそなえた学生を送り出すことで、日本のファッション産業の世界的競争力を強化し、市場を活性化させる効果が期待される。
また、本取組におけるプログラムが日本のファッション分野の教育モデルとなり、ファッション分野におけるグローバル教育だけではなく、デザインやクリエイション分野への波及効果が期待できる。
【本取組の質を保証する仕組み】
2015年度より、長期学外学修プログラムの参加学生による報告書を発行することで、成果を可視化している。また、全学合同教授会や学部協議会、各学科の学科会議やAP推進協議会において随時、取組全体の成果を報告し、課題等の明確化とその対応策の検討を行っている。
また、本取組においてはプログラムの担当教員からなるAP対応ワーキンググループを実行機関として設置している。さらに、プログラムの運用の協議や科目の評価基準、内容についての検討を円滑かつ迅速に実施する体制を整える目的で、担当教員と学事課職員、教務課職員からなるAP担当者連絡会を、2017年1月に設置した。
個別の科目については、科目担当教員や事務職員を中心とするAP担当者連絡会で、それぞれの科目で見つかった成果や課題等を共有した上で、相互に評価を行っている。
これにより、AP担当者連絡会がプログラムや科目内容を計画し、AP対応ワーキンググループによる実施、そこで得られた成果や課題をAP担当者連絡会やAP推進協議会で精査し、プログラム運営や科目内容を修正することで、取組の質を保証する仕組みの整備を行った。
具体的な実施計画における指標 |
2015年度
(起点)
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2017年度
(実績)
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2019年度
(目標)
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長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 |
0.5% |
4.1% |
12.7% |
学生の授業外学修時間 |
ー |
指標や測定方法の 検討を実施 |
調査を実施 |
学生が企画する活動数 |
1件 |
7件 |
5件 |
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