大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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福岡女子大学   社会と学びを自ら結びつける力の育成のための長期学外学修プログラムの開発と実践 

テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」

事業期間:2015年度~2019年度

【取組の概要】

 学生が主体的学びの重要性に気づき、そして主体的学びを習得・実践すること、つまり社会のニーズに合った能力を伸ばすことを目指し、社会と学びを自ら結びつける力を育成する新しい長期学外学修プログラム(Expanding Your Horizons(EYH)プログラム)を開発するとともに、本学がこれまで進めてきた既存の1か月未満の海外研修の長期化や海外交換留学先の拡充を図ることで、さらに学内の長期学外学修プログラムの充実を図る。EYHプログラムの派遣先は、地域問題のために活動する団体や企業が多いため、地域の抱える問題を理解し、地域に出て学ぶことの重要性を理解するための基礎科目「地域共創論」と、十分な事前事後学修を組み合わせ、より質の高いプログラムの実施を目指す。これらに加えて、カリキュラムの改編およびクォーター制の導入を実施し、学生が長期学外学修に参加しやすい学修環境の整備を図る。

【取組のポイント】

➢福岡女子大学のこれまでの教育システムを発展させた教育プログラム
➢社会と学びを自ら結びつける力を育成する教育プログラム「EYHプログラム」の開発と実践
➢クォーター制の導入により、長期学外学修時間の確保
➢地域の課題を理解し、長期学外学修への参加意欲を高める科目「地域共創論」の開講
➢参加した学生による経験の共有、次の参加学生のサポートを行う、持続可能なプログラム
【キーワード】
「主体的学び」、「クォーター制」、「Expanding Your Horizons(EYH)プログラム」

【人材育成目標】

 体験を通じて社会課題を認識し学生各自が大学での学びの意義を見出す「学びの気づき」から、専門的な学びを社会の中でどのように活かすかの実体験を通して「学びの習得・実践」へとつながる学外学修プログラムによって、主体的な学びを実践できる人材を育成する。すなわち、①新しい知識と経験を自発的に身につける、②これまで自分が得てきた知識と実際を結びつけ、さらに深い学びにつなげられる、③自分自身を柔軟に、どのような状況でも対応できるようになる、④自ら考え、行動できるようになる人材の育成を目指している。

【教育上の課題】

 2015年3月新学部である国際文理学部の完成を迎え、教育学習支援センター(センター長:理事・副学長)において4年間の取組成果を検証・評価するとともに、更なる改革ステップ・方向性を討議した。高等教育修了学生の実態と社会が求める能力にかい離、特にリーダーシップ、コミュニケーション能力の不足が多くの調査で報告されている。本学の学生自らが自分の学修成果を評価するプログレスファイルにおいても、これらの評価は4~5点(10ポイント満点)と他の項目に比べ評価が低い。これは社会における実体験の少なさや自ら考え抜く場面に遭遇する機会が少ないことが要因の一つに考えられる。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組> 
 本取組の全体の目的は、本学で、新学部発足とともに強化された1か月未満の海外研修や、国内での短期学外学修プログラムを充実させる一方で、これまでの本学の長期学外学修プログラムの一つと位置付けられている交換留学制度に加え、社会と学びを自ら結びつける力を育成する長期学外学修プログラムを新設し、それを本学が提供する諸プログラムと有機的に結びつけ、学生の主体的学びの実現を目指すことにある。そこで、主体的な学びの気づき・習得・実践を目指す長期学外学修「Expanding Your Horizons(EYH)プログラム」を新たに開発し、2017年度より実施している。
[EYHプログラム]
 EYHプログラムは、日本国内、または海外で1か月以上にわたり、社会貢献活動など地域での活動が結びついたコースに参加、または国内外の企業などでインターンとして就業体験することで、学生自身がこれまで得てきた知識と現実世界を結びつけて考え、理解でき、行動できるようになり、ひいてはグローバルかつ地域貢献に資する人材となることを目指すプログラムである。
 このプログラムでは、海外は、フィンランド、オーストリア、クロアチア、インド、タイ、アメリカ合衆国、カナダ、日本国内は、福岡県、長崎県、大分県、熊本県において、1か月以上の就業体験やボランティア活動を行うことで、自分の可能性を広げるとともに、地域問題や地域の持続可能性、地域貢献について、理解を深めていく。
 このプログラムは、地域で起きている問題を理解し、行動を起こすための基礎的知識およびスキルを学び、プログラムに参加する学生の学外での学びと経験を最大限に活かすため、地域の抱える問題を理解し、学外での学びの重要性を理解する科目「地域共創論」の履修を推奨するとともに、学外学修に関係した種々の課題研究とその発表や成果報告など、のべ15時間以上の「事前事後学修」を必須としている。EYHプログラムでの現地での1か月以上の活動と、事前事後学修は、体験学習科目として単位認定が行われている。
 本プログラムでは、過去の参加学生が、これからの参加学生をサポートする仕組みも作っている。実際に、前年度参加学生の自発的な事前学修の参加および現地への訪問という好循環が生まれている。
 学内的には、実施をサポートするために、AP推進室を設置して各学外学修先でのプログラムの企画・開拓・実施及び必要な改善を行っている。
[既存の学外学修プログラムと学内制度の改善]
 既存の1か月未満の語学・文化研修、海外体験学習プログラムといった海外研修や交換留学プログラムについても、海外研修は長期化、交換留学プログラムは交換提携先の拡大など、大学全体の長期学外学修プログラムの充実を推進している。
 一方で、長期学外学修プログラムに参加がしやすくなるカリキュラムの改編およびクォーター制の導入を2018年度から実施し、学生が長期学外学修に参加しやすい学修環境の整備を図っている。
<実績・成果> 
・主体的な学びの気づき・習得・実践を目指す長期学外学修 Expanding Your Horizons(EYH)プログラムの開発及び実践
・EYHプログラムに向けた導入科目「地域共創論」の新設
・既存の海外研修の長期化や、交換留学プログラムでの交換協定校の拡大による多様な学内の長期学外学修プログラムの整備
・カリキュラムの改編及びクォーター制の導入
 以上の実施により、長期学外学修プログラムへの参加学生数は増加しており、教育における学外学修の活用が促進されている。また、授業外の学修時間もわずかではあるが増加しており、学生の学修態度の改善が図られていると考えられる。さらに、EYHプログラムにおいては、参加した学生からは「将来的な視野が広がった」「積極的な姿勢が身に付いた」「問題解決のために色々な形で取り組む方々と出会い、考えを深めることができた」「自分自身の視野を広げ、成長することに繋がった」などの自己評価が報告され、学生の主体的な学びを促進していると考えられる。

【今後の取組の計画】

 AP補助事業終了後も長期学外学修プログラムの内容を充実させ、継続させていくために、今後は、必修科目がないクォーターを設けるなど、学生が長期学外学修プログラムに参加しやすい環境を整えていく。また、採用しているAPプログラム専任教員のノウハウを学科等の専任教員に移行させて、補助期間に導入したEYHプログラム等の実施も継続する予定である。なお、2017年度より、学科の専任教員もEYHプログラムに参加し、APプログラム専任教員と協力して学生の指導等を担当している。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

・過疎地域の地域活性化や、企業・自治体での新しいアイデアの提供と実施など、EYHプログラムを通じた地域社会への貢献
・国内外での多様な活動を通じ、主体的な学びを実践し、どのような環境にも適応し、地域社会の問題を解決できる、柔軟かつグローカルな感性を持つ人材の輩出

【本取組の質を保証する仕組み】

 EYHプログラムの企画・実施・内容及びその成果に関しては、APに特化した学内の審議機関であるAP推進会議にてプログラムの評価が行われ、改善点等が集中的に審議されている。さらに、学部教育に関係する学内のセンター、部会、委員会、及び教授会でもAP事業の企画・成果について評価あるいは承認を受けるとともに、理事会、大学の自己点検・評価委員会において、報告がなされ、プログラムとしての評価に加え必要な改善点等のフィードバックを受けるなど、より質の高いプログラムにするための仕組みを構築している。
具体的な実施計画における指標 2015年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 4.1% 9.7% 31.0%
学生が企画する活動数 未実施 8件 20件
学生の授業外学修時間 5~10時間 10.6時間 21.0時間
進路決定の割合 90.4% 96.7% 95.0%