大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

APの基本的情報

  • TOP > 
  • 選定校の一覧 > 
  • 福岡医療短期大学   アクティブ・ラーニング教育の推進と学修成果の可視化

福岡医療短期大学   アクティブ・ラーニング教育の推進と学修成果の可視化

テーマⅠ・Ⅱ複合型

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 本学は、専門教育における高いアクティブ・ラーニング実施率の中、学士力や社会人基礎力等の育成を進めてきたが、さらなる汎用的能力の育成と学修成果の可視化による教育改善が求められている。本事業の中で、①汎用的能力判定のための学修成果アセスメントテスト、②学生の行動や満足度等に関する間接評価調査、③産業界のニーズを反映させた共通ルーブリックを活用した学修評価、④「振り返り」学修を支援する学生ポートフォリオの取組を通じて、アクティブ・ラーニングの質向上と初年次導入教育・インターンシップ前教育・インターンシップ教育における汎用的能力の育成のための教育改善モデルを実践していく。さらに、(A)卒業後の専門職としての汎用的能力の定着と向上、(B)医療・福祉系実践教育におけるアクティブ・ラーニング教育改善モデルの提唱を達成目標として、本学の人材養成機能の抜本的強化を図りたい。

【取組のポイント】

➢学修成果アセスメントテスト、間接評価調査(学生対象調査)、ルーブリックを活用した学修評価、「振り返り」学修支援学生ポートフォリオを通じた学修成果の可視化
➢初年次導入教育、インターンシップ前教育、インターンシップ教育によるアクティブ・ラーニングの質向上による教育方法の改善
➢主体的な学びの確立のための質を伴った学修時間の実質的な増加・確保
【キーワード】
「学修成果アセスメントテスト」、「間接評価調査」、「ルーブリック評価」、「学生ポートフォリオ 」

【人材育成目標】

 本学は医療・保健・福祉を取り巻く環境の変化に対応した専門知識・技能の修得を目指し、以下のDPを掲げている。
■豊かな教養と人間性を持ち、基本的な医療・保健・福祉の知識を体系的に理解することができる(知識・理解)
■多様な情報や知識を論理的に分析、考察することができる(思考力・判断力)
■科学的思考力を持ち、問題を発見・解決することができる(思考力・判断力)
■自己管理力や主体性を発揮し、社会や他者のために責任ある行動をとることができる(態度・主体性)
■多様な対象者に対して幅広いコミュニケーションをとることができる(態度・主体性)
■根拠や理論に基づいた知識や技能を活用することができる(技能・表現)

【教育上の課題】

 本学は、これまでに産業界(医療・福祉分野)の求める人材育成の観点から専門教育の中での学士力、社会人基礎力等の育成・評価を実施し、教育改革を進めてきたが、学生対象のアンケート調査と卒業生対象の卒後追跡調査により、卒業後の一部のジェネリックスキル(汎用的能力)の定着度をさらに向上させる必要性が見出された。さらに、アクティブ・ラーニングの質向上による汎用的能力の育成の充実とともに、学修成果の可視化による学修成果・評価体制の強化の必要性が生じている。そのために、学修成果アセスメントテスト等の取組による学修成果・評価体制の充実とアクティブ・ラーニングにおける取組の充実と発展を図る必要がある。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組> 
 アクティブ・ラーニングの質向上については、①初年次導入教育、②インターンシップ前教育、③インターンシップ教育の中でルーブリックを活用しているが、ルーブリックによる自己評価、他者評価(ピア・指導者・教員評価)によって、目的意識が明確になり、自己評価による振り返りの機会の確保やピア評価による学修の動機づけにつながっている。また、学修成果の可視化については、学修成果アセスメントテストや学生IR調査、学修支援ポートフォリオの取組を通じて、本学の教育における優位性や課題が明確になっている。
○事例1
 「インターンシップ前教育(ピア・サポート)」
 インターンシップが始まる3年生が1年生を患者に見立てて歯科保健(歯磨き)指導を行い、1年生から評価をしてもらうピアサポート型授業である。授業方法としては、1対1の個人対象に行うもので、大学生活に慣れない1年生にとって頼もしい3年生との出会いは、口腔の健康教育だけでなく生活や学修支援にまで及ぶため、歯科衛生士の将来像を間近に描けると同時に、3年生は1年生の時に受けた内容を思い出し、親身な指導を心掛けるという循環型教育を期待した取組となっている。
<実績・成果>
 教育プログラムに対するアンケートの集計結果は、下級学年の10項目の平均値が3.67~3.87(4点満点)、指導した上級学年の平均値が3.23~3.69(4点満点)であり、いずれも肯定的評価を得ている。学生アンケートの自由記述から、下級学年で上級学年からの指導を受け、知識や経験を積んで上級学年で指導者を体験するプロセスが深い学びにつながると同時に、効果的な学び合いにもなっている。

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 アクティブ・ラーニングの質向上と学修成果の可視化の取組については、医療・福祉系実践教育におけるアクティブ・ラーニング教育改善モデルとして立案計画している計6つの教育プログラムにおいて、ルーブリック評価のばらつきを改善するために評価項目の見直しや効果的な取組となるよう実施時期の変更等を行っている。
 また、アクティブ・ラーニングのさらなる促進のために、アシスタント・ティーチャーの勤務時間を見直し、正規授業終了後の学修支援体制を強化している。学修ポートフォリオの取組については、2018年度に学修目標を明確にした様式へと変更を行い、パソコン入力を可能にした。教員から学生へのフィードバックを積極的に行うことで、自己管理や学修評価の機会としたい。
 さらに、本事業終了後のアクティブ・ラーニングの質向上や授業外学修時間の拡充を図るため、映像教材を作成・配信するシステム及び学内無線LAN環境の整備を進めている。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

・学外実習における実習開始1週間目と終了時の計2回行うルーブリック評価は、インターンシップにおける学生の動機づけ向上の方策として、他学でも応用可能である。
・ATによる放課後の学修支援体制構築は、授業外学修時間の増加への方策として、他学でも応用可能である。
・介護実習で求められる能力を示したルーブリック評価シートは、人材育成に苦慮する福祉施設の職員にも応用可能である。

【本取組の質を保証する仕組み】

①本学教育の内部質保障と第三者機関による外部評価の観点から、可視化された学修成果を教育の質向上とDPの厳格な解釈につなげるため、2017年度にDPに対する各授業科目の一般目標と行動目標の具体化を図った。併せて、成績評価基準の平準化等の取組や実質的な授業外学修時間の増加の方策を検討・実施した。こうした取組により学修成果の可視化を手段とした教育の質向上を図ることができると考えている。また、教員の教育力向上を図り、大学全体の教育改革が更に加速することを目的に、学務FD委員会にFD作業部会を作り、本取組で行ってきたFD・SDを含めた体系的なFDを実施することで、本取組の意義・重要性の理解と教員の能力向上を図っている。
②PDCAサイクルを効果的に動かすため、2017年度に事業実施体制の見直しを行い、自己点検評価及び外部評価による課題の提示の下、現状分析・解決への方策の立案・方策の具体化・実施・評価等アセスメントからアクションに至るプロセスにおける関与を就業力支援委員会(本事業の実施主体)と教育支援・教学IR委員会及び学務FD委員会で分担し、3委員会が連携して本事業を推進している。特に、教育支援・教学IR委員会において学修成果を分析・可視化することにより、本学の教育における優位性及び課題を把握し、優位性の更なる促進と課題の解消を図る方策を就業力支援委員会・学務FD委員会が確保することで学修成果の可視化が教育改善を図るチェック機能を持つようにしたいと考えている。
③外部評価については、これまで外部評価委員会の記録を事業報告書に掲載することで対応していたが、改善計画の策定等に活用するため、2018年度より外部評価委員の意見をまとめた外部評価委員会報告書を作成するなど今後も改善に努め、外部評価の適切性につなげたい。
具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
ALを導入した授業科目数 71.4% 76.8% 80.4%
AL科目のうち必修科目数の割合 92.5% 96.4% 93.3%
ALを受講する学生の割合 100% 100% 100%
学生1人当たりAL科目受講数 13.5科目 19.2科目 18.0科目
学生1人当たりのAL科目に関する授業外学修時間 2.6時間 7.0時間
ALを行う専任教員の割合 100% 100% 100%
プレースメントテストの実施率 80.5% 100% 100%
授業満足度アンケートにおける授業満足度 64.3% 68.1% 95%
学修到達度調査の実施率 36.6% 99.2% 100%
学生の授業外学修時間 2.3時間 24.16時間 14時間