大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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福岡歯科大学   修得能力の数値化による学修成果の可視化の取組

テーマⅡ「学修成果の可視化」

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 福岡歯科大学では学士課程6年間における学修成果を可視化することに着手している。これまで本学で行われてきたプロセス基盤型教育にアウトカム基盤型教育の考え方を導入することで、これまでより教育・学修の目標が明確となるとともに、目標達成の評価を数量的かつ質的に行うことが期待される。具体的には既存のカリキュラムに「何ができるようになるか」という要素を取り入れ、学生が卒業する時点でどのような能力を身につけることができるかを卒業時アウトカムとして設定し、その達成に寄与する行動目標との紐付けとともに教育目標領域と修得難易度の設定を行った新シラバスを作成した。これを基に達成度を数値化して明示することで、学修成果として可視化する仕組みを考案した。この新シラバスの運用を2017年度より開始し、各科目の成績を用いて学生の獲得能力を到達達成度として数値化するとともに、妥当性の検証を行っている。

【取組のポイント】

➢卒業時アウトカムの設定と設定した卒業時アウトカムを学生に確実かつ十分に修得させるためのカリキュラム改定
➢卒業時アウトカムと授業の行動目標を紐付けしたシラバス情報と学生の成績情報を基にした修得能力の数値化
➢PROGや学内総合テスト、アンケート調査等の各種試験や調査結果に基づく数値化した能力の妥当性検証
【キーワード】
「修得能力の数値化」、「アウトカム基盤型教育」、「カリキュラム改定」

【人材育成目標】

 建学の精神に基づき、福岡歯科大学が育成する歯科医師の具有すべき能力として下記6つのコンピテンス(概略的な能力)を策定し、それを本学のディプロマ・ポリシーとした。
1.医療人としてのプロフェッショナリズム
2.医療人としてのコミュニケーション能力
3.ライフステージを通じた包括医療・ケアに必要な口腔医学の知識の具有と応用
4.ライフステージを通じた包括医療・ケアにおける口腔医学の実践
5.超高齢社会における地域包括ケアの理解と実践
6.医療人としての国際力の涵養
さらに上記6つのコンピテンスを具体的な能力として示すため、65のコンピテンシー(観察可能な具体的能力)を定め、これと各授業の行動目標との紐付けを行いシラバスに明示した。

【教育上の課題】

 【人材育成目標】に記載したコンピテンスの3と4に関する授業の割合が多く、コンピテンスの2と5の能力を修得させる授業内容が不足している。
 ディプロマ・ポリシーとして定めた能力を学生が身につけるためには、授業外での学修時間の確保が不可欠であるが、授業外学修時間が目標とする12時間(/週)に到達していない。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組>
 2014年度時点のディプロマ・ポリシーは概括的・抽象的な概念としての文言となっており、学生にとって明確な目標を定めにくいことが懸念された。そこで、学生の目標となり得るようなディプロマ・ポリシー(コンピテンス・コンピテンシー)を策定した。
 次に、策定したディプロマ・ポリシーと授業との紐付け情報を電子データとして蓄積するために、Webベースのeシラバスを開発した。
 さらに、授業担当者に対して、本事業の取組の意義を理解した上でシラバスを作成することや、新たに開発したeシラバスの利用方法を習得することを目的としたFD・SDを毎年継続して実施している。
<実績・成果>
・シラバスで授業とディプロマ・ポリシーを紐付けて数値化したことで、カリキュラム構造の検証が可能となり、2018年度カリキュラムの改定を実現することができた。
・eシラバスの運用開始と合わせて、シラバスに「授業外学修時間の目安と実施内容」を具体的に記載することで、学生が授業外の学修として取り組むべき内容を明示できた。

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 今後も継続してカリキュラム構造や授業内容を検証し、本学のディプロマ・ポリシーとして定めた能力を学生が身につけることができるように、最適なカリキュラム・授業内容を目指して改善していく。また、学生の授業外学修を促すこと等を目的に、e-learning教材を拡充していく。さらに、授業で得られた能力値を集計して得られた学生個人の到達度について、PROGやその他の外部試験やアンケート調査の結果を活用しその妥当性を評価していく。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●卒業時アウトカムの策定に向けた活動内容は模倣可能である。
●シラバスにおけるディプロマ・ポリシーと行動目標の紐付け情報に 基づく修得能力数値化の仕組みは流用可能である。

【本取組の質を保証する仕組み】

①教育支援・教学IR室運営委員会を主体とする内部評価委員会および自己点検・評価委員会で、年度毎に実施計画に基づく事業実施内容の評価を実施している。自己点検・評価委員会は、学務を管掌する「学生部長」、各部門の教育を主導する「口腔・歯学部門長」、「全身管理・医歯学部門長」、「社会医歯学部門長」、「基礎医歯学部門長」を含めたメンバー構成になっており、教育内容全体の観点や各部門の教育内容の観点など、様々な観点から持続的な教学マネジメント活動に関する助言、改善指導を行っている。
②学識経験者、歯学・医学教育の有識者、歯科医院の院長、自治協議会会長など多職種で構成する外部評価委員会を設置しており、事業実施内容に関する総合的評価実施している。3年ごとに外部評価を実施し、第三者の立場から客観的視点による評価・検証の機会を確保することで教学マネジメント活動の改善を行っていく。
具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
プレースメントテストの実施率 100% 100% 100%
授業満足度アンケートを実施している学生の割合 100% 100% 100%
学修行動調査の実施率 87.8% 96.6% 100.0%
学修到達調査の実施率 0% 100.0% 100.0%
学生の授業外学修時間 6.4時間 9.0時間 12.0時間
学生の主な就職先への調査 有り 有り 有り
ディプロマポリシーと行動目標との関連を明示した科目数 0.0% 96.9% 100.0%
行動目標の難易度と重要度の平準化が行われた科目数 0.0% 96.9% 100.0%
統一した試験問題ブループリント、ルーブリックの作成要綱、
学修ポートフォリオ評価基準をもとに評価を行った科目数
0.0% 96.9% 100.0%
学生の授業外学修のためのe-learning用コンテンツを作成した科目数 50% 67% 100%
学修成果の可視化に関するWS、FD、SDおよび講演会の開催 9回 4回 3回