大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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公立千歳科学技術大学(2019年4月1日公立大学法人化)   ディプロマ・ポリシーを意識した全学教育改革を伴う卒業時の質保証

テーマⅤ「卒業時における質保証の取組の強化」

事業期間:2016年度~2019年度

【取組の概要】

 本取組を本学の中核事業と位置づけ、GP等の成果を一体化させて本学の教育改革を加速させる。具体的には、学力観を意識したコンピテンシーベースのディプロマ・ポリシーに改訂し、カリキュラムの体系化(「CIST質保証マップ」の構築と、科目の達成目標と関連づけ)を図る。その上でコンピテンシー養成のためにICT活用教育環境の構築(CBT、行動履歴可視化機能、eポートフォリオ、授業ポータル)を行う。並行して、初年次系修学支援室の体制強化、キャリア教育とクラスアドバイザーの実働、専門科目・指導教員によるパフォーマンス評価を行う。これらを組み合わせ、反転学修とアクティブ・ラーニングなどの推進とディプロマ・サプリメントの活用などにより、授業改善を一体的に行う。

【取組のポイント】

➢ディプロマ・ポリシーの改訂と学生へのディプロマ・ポリシーの意識付けの強化
➢ディプロマ・ポリシーを意識した全学的教育カリキュラム改革
➢全専任教員参加の領域WGによるCIST質保証マップの開発
➢シラバス上での汎用力評価項目の追加からの授業設計および改善
➢卒業生調査の実施と教育カリキュラム・学生へのフィードバック
➢授業外学修を意識したCBT(Computer Based Training)の開発・活用
【キーワード】
「カリキュラム体系再構築」、「汎用的能力評価を意識した全学的授業改善」、「CIST質保証マップ」

【人材育成目標】

 1998年開学以来、建学精神である「人知還流・人格陶冶」の担い手となる幅広い技術系領域で活躍できる理工系人材の育成のために、本事業では、ディプロマ・ポリシー実現に向けたカリキュラムの体系化及びそれらの質保証を目標とする。

【教育上の課題】

 建学精神を学生に意識させる本学の教育は、進路決定率 87.2%(過去5年間の平均)、内66.8%が理工系の技術系領域への就職として実を結び、現在は学部1・2年次正課のキャリア教育(参加率 75.5%)を核に推進している。一方、退学率は過去5年間の平均で約 6.0%と決して低くなく、理工系の就職を前提としたカリキュラム運用の難しさが浮き彫りとなり、カリキュラム・ポリシーの実質化が必要とされている。さらに、卒業生調査及び企業による外部評価委員会答申等から、知識定着からコンピテンシーを重視したカリキュラムへの改訂が必要とされ、ディプロマ・ポリシーの実質化が求められている。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組>
 事業開始当初にディプロマ・ポリシーを軸とした3ポリシーの再設定を学長主導の下に行った。また、全学的なFD活動と位置付けた全専任教員が参加する領域WGを開催し、すべての科目での領域、単元分けを行い、それぞれの科目をレベル1~4に配置したCIST質保証マップの開発を行った。これらの活動においては教員間のFD活動の活性化につなげている。
 さらに、授業外学修時間の確保に向けたCBT教材の開発、ポータルサイト上での機能の追加などICT活用も行ってきた。これらの作成にあたっては、各WGの外部委員(社会連携WG・高大連携WG・大学連携WG)や外部評価委員の助言を積極的に取り入れながら進めている。
 教育改革に関しては、当初の目標であった共通基盤科目の見直しに留まらず、外部評価委員のコメントに基づき、積極的にアウトププット型の教育を取り入れつつ、共通基盤科目だけでなく専門教育を全面的に見直す大きな教育改革を推し進めている。
 また、卒業生調の実施(18%)、各連携WGにおける外部への意見として、各企業、大学、高校への評価も定期的に開催している。FD活動としては、CIST質保証マップの開発に留まらず、FD研修会を定期的に開催している。内容としては、授業外学修時間の向上を意識したもの、シラバスを軸とした授業設計などをテーマとしている。定期的な授業外学修の調査を1・2年次に行い、授業外学修支援のために情報等の科目においてCBT教材の活用を行った。さらに、英語・日本語・理科についてもCBT教材の整備を継続して行っている。
<実績・成果>
・全専任教員参加でのCIST質保証マップの開発
・CBT教材(英語・日本語・数学・情報)の開発と活用
・卒業生調査の実施(2017年度 18%)
・定期的なFD研修会の開催(毎年2回以上実施)
・ディプロマ・ポリシーに関する項目のシラバスへの追加(全科目)
・キャリア科目の必修化

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 教育の質保証として、授業での汎用力評価を意識したシラバスの改善を全科目において行う。シラバス評価の蓄積によって、改めて各学科でのDP・教育内容を見直し、最終的なカリキュラム改革案の策定を行う。これらの学内への活用として、必修化されたキャリア科目の中で、DPに基づいた学修到達目標と目標達成に向けた学修計画を設定し、学生への学び(特に汎用力)への意識付けに活用していく。
 ディプロマ・サプリメントに関しては、学生の成績情報から自動的にシステムで発行できるようにする。専門領域と汎用力の学びの成果を表示し、学生自身の学びの振り返りに活用していく。授業外学修支援のためCBT教材として、理科の開発を行い、その他の科目とともに活用を行っていく。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●成果
 全教員参加の領域WGで取り組んだ結果、 ①CIST質保証マップ、ディプロマ・ポリシーの項目を意識した学修評価、②シラバスの改訂及びそれらの内容からシステムで自動作成、③CIST版ディプロマ・サプリメント発行の道筋ができた。また、これらのFD活動を伴った教育改革及び成績評価の質保証の取組については、適宜、学会等で事例発表を行い、多面的な見解を得ていく活動は今後も継続する予定である。さらに、本学で開発してきたCBT教材(英語・数学・理科)は他大学や道内教育機関での試用が行われている。
●社会へのインパクト
 大学のステークホルダーのさまざまな意見を参考にした大学教育改革を継続することで、社会との連携を一層強化し、相互の信頼のもとでの有用な人材を送り出すことが期待できる。

【本取組の質を保証する仕組み】

 本学では、ディプロマ・ポリシーに沿った学生の質保証はシラバスの内容改善という点を中心に取り組んでいる。具体的には、基礎学力・専門知識といった、いわゆる専門力と汎用力の評価に関して記載を行うというものであり、各能力の評価にあたっては、ディプロマ・サプリント発行の実現性を高めるため、①各授業の成績を活用し算出できること、②現行の成績データの入力インターフェースに変更を加えないことの2点に留意した。専門力については、CIST質保証マップの単元にある各々の科目のレベルとその成績に応じて自動的に算出できる。CIST質保証マップは、全教員が参加する各領域WGで、複数の単元を検討し、レベルを4段階に設定したものである。
 一方で、汎用力については、その能力を評価できる科目が、プロジェクト科目やキャリア教育のみと極めて少ないのが現状である。そこで、来年度に向けて、一般の基盤教育や専門教育の中でも、科目毎の授業で汎用力に関する各能力について評価できるよう、シラバスにその要求する能力の割合を明記する。今後はFD研修等を通じて、汎用力評価を軸とした授業改革に繋げていきたい。
 これにより、授業改善・教育改革を行いつつ、学生個々の学修成果をディプロマ・サプリメントとして発行することによって教育の質保証の強化を図る。
 また、これらに関しては、教職員だけでなく、在学生の意見を取り入れつつ、改良を重ねていく。さらに、外部への質保証として、企業(社会連携WG)、大学(大学連携WG)、高校(高大連携WG)、外部評価委員会ならびに学会等で発表を行うことによって、積極的に外部の意見を取り入れていく。
具体的な実施計画における指標 2016年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
学生の成績評価(GPA平均) 2.3 2.4 2.6
学生の授業外学修時間(1週間当たり) 17時間 13時間 36時間
卒業生調査の実施率 0% 18% 20%
CIST質保証マップの適用率 0% 100% 100%
事業への教員の取組参加率 0% 100% 100%
質保証に関するFD・SDの参加率 53.7% 90.8% 100%
進路決定率 90.8% 91.6% 90.0%
理工系分野への就職率 72.0% 76.5% 80.0%