大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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東京工科大学   東京工科大学型コーオプ教育プログラムの展開:産学協働で創り出す主体的学修の場

テーマⅣ「長期学外学修プログラム(ギャップイヤー)」

事業期間:2015年度~2019年度

【取組の概要】

 本学は開学以来、「生活の質の向上と技術の発展に貢献する人材を育成する」という基本理念のもと実学主義教育を行ってきたが、国の政策方針等に鑑み、長期学外学修プログラムによる主体的学修を促すことが必要と考え、2015年度に新設した工学部において、約2か月間のコーオプ実習(有給の学外就業体験)を全学生(入学定員280名)に対し必修科目として実施している。本コーオプ教育プログラムは、事前教育、学外就業体験、事後教育で構成される。事前教育では、主体的行動力、就業マナー、コミュニケーション能力等を身につける。就業体験では、コーオプ実習期間の全ての開講科目をクォーター開講にし、8週間のギャップイヤー(ギャップターム)を作り、学外就業体験を行う。また事後教育では、就業体験の振り返りやキャリア教育の推進等、主体的な学修の定着を図ることを目的とする。我が国で取組事例の少ないコーオプ教育プログラムを実施し大学教育改革を加速させる。

【取組のポイント】

➢クォーター制を導入したことによる、約2か月に渡るコーオプ実習の実施
➢インターンシップとは異なり、長期間企業の一員として有給で就業する
➢事前事後教育の実施
【キーワード】
「クォーター制」、「主体的学修」、「コーオプ実習」、「事前事後教育」

【人材育成目標】

 東京工科大学は1986年の開学以来、教育の原点である大学のあり方や教職員一人ひとりの判断や行動の基軸として、「生活の質の向上と技術の発展に貢献する人材を育成する」という基本理念を掲げている。また、基本理念を実現するための三つの具体的理念として
・実社会に役立つ専門の学理と技術の教育
・先端的研究を介した教育とその研究成果の社会還元
・理想的な教育と研究を行うための理想的な環境整備
を掲げている。
 これらの理念に基づく教育の目的は、国際的な教養、実学に基づく専門能力、コミュニケーション能力、論理的な思考力、分析・評価能力、問題解決力を身につけた世界に通用する人材を育成し、産業界や社会に貢献することである。

【教育上の課題】

 本学は、実社会で活躍できる人材育成を行うため、インターンシップやサービスラーニングを教育課程に配置し、実社会に役立つ教育を行ってきたが、全学生のうち履修者はごく少数に限られていた。学外学修の教育効果をより上げるには、事前教育、事後教育と併せて、実習期間を長くし、教育プログラムとして一層深化・加速させる必要があるとの課題を認識した。また、もう一つの課題として、退学率の減少対策があった。これを改善すべく教職員が協働して、入試改革(入試科目数の変更)や教育支援システム(入学準備ガイダンス、学修支援センター、アドバイザー制度等)など様々な取組を導入してきたが、必ずしも十分とは言えず、社会に触れる環境を作り、異なる価値観の中で、広い視野、高い志に気づかせ、主体的な学修の機会を増加させる必要があると痛感していた。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組> 
 2015年に開設した工学部(機械工学科、電気電子工学科、応用化学科)では、ギャップイヤー(ギャップターム)を活用した長期学外学修プログラム(コーオプ実習)を必修で導入する大学改革を行うことを決意し実行している。これにより、まだ日本では根付いていない長期のコーオプ教育プログラム《東京工科大学型コーオプ教育プログラム》をまず工学部で実現することを、本学における教育改革の最重要取組と位置付けている。
 本学のコーオプ教育プログラムは、海外の大学で行われている「大学非関与型」ではなく、教育課程にしっかりと位置づけ、就業体験を中心に事前・事後教育を含めた教育プログラムとして提供する「大学プログラム型」である。この事前教育では、経済社会と企業の仕組みを学ぶとともに、演習授業でグループワーク等を行い、主体的な学修力、行動力、コミュニケーション力を身につける。また、学外就業体験直前の学期では、社会人としての心構えや就業マナーを学ぶとともに自己分析と希望に基づいて就業先とのマッチングを行っている。マッチング後は、学外就業体験先の調査・研究を行い実習に向けた準備を進める。学外就業体験後には、事後教育として学外就業体験の振り返りや改善提案などをまとめ、発表を行うことで主体的学修の定着を図り、今後の就職活動にも役立つことを期待している。
 この学外就業体験を実施するために、コーオプ実習を実施する期間(機械工学科:2年次後期、電気電子工学科・応用化学科:3年次前期)は、ギャップイヤー(ギャップターム)を設け、セメスター制ではなくクォーター制を取り入れ、約2か月(8週間)の集中的な就業体験と実験・演習授業を展開している。
 コーオプ実習を実施した2016年度、2017年度あわせて、400名を超える学生が、のべ245社で実習を実施した。学生に対する教育効果は高く、学外での就業体験を行ったことが、学生の学修意欲の向上に大いにつながっている。
<実績・成果>
・1学年280名(入学定員)が、必修で2か月間学外で実習を行うための実施体制の構築
・東京工科大学型コーオプ教育を実施するコーオプセンターの整備
・受入企業の開拓、充実
・コーオプ実習を中心とした事前・事後教育の実施
・コーオプ教育評価検討会による定期的な点検体制

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 本学のコーオプ教育プログラムは、工学部機械工学科、電気電子工学科、応用化学科の教育課程に必修科目として配置し、工学部の特色である教育の一つとして位置付けているため、このプログラムの継続性は担保されており、また、資金計画上も大学の予算を確保しており問題が無い。2018年度に工学部として初めての卒業生が出るため、その結果を受けて、本学のコーオプ教育プログラムを発展的に継続していく。 2019年度以降は、工学部以外の学部のカリキュラムにおいても、コーオプⅠ・Ⅱという科目を設置する予定で、これまでのノウハウを生かし、夏期・春期休業期間を利用したコーオプ実習を他学部でも展開する予定である。
 また、学外への波及効果を目指す取組として、これまでも大学のホームページやパンフレットにより広く世に周知している。
本学コーオプ教育ホームページURL:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/eng/coop_edu.html
 これまでも他大学からの視察等を受け入れているが、今後も積極的に受け入れる予定である。また、コーオプ教育の成果を学会において発表することや、シンポジウムの実施を計画している。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●有給の長期学外実習を工学部の全学生が履修する必修科目として展開している点。
●長期学外実習を経ることによって、学生の主体的学修の促進や対人基礎力や対自己基礎力に成長がみられる点。
●教職協働に加え、学外のマンパワーも使いコーオプ教育を展開している点は他教育機関の参考になると考えられる。
●コーオプ教育に関する情報をHP等を通じて周知、情報展開することにより他の教育機関でもコーオプ実習の普及が期待される。

【本取組の質を保証する仕組み】

 本取組では、外部評価機関として、年に1回コーオプ教育評価検討会を開催している。ここでは、学外の学識経験者、コーオプ実習の受入企業、自治体・商工団体等関係者から構成される委員に対し、事前事後教育の実施状況やコーオプ実習の実績や今後の実施計画等について説明を行ったのち意見交換が行われ、過去3回ともこれまでの実施状況や今後の実施計画について妥当であるとの評価を受けている。
 また工学部の教員に対しては、月に1回開催される工学部の教授会や教員集会(アゴラ)においてコーオプセンター長から、コーオプ教育の進捗状況等を報告するとともに、各教員からもコーオプ実習受け入れ企業を訪問して聴取した意見などについて報告を行い、今後の取組の改善に向けて意見交換を行っている。
具体的な実施計画における指標 2015年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
長期学外学修プログラムに参加する学生の割合 99.34% 100%
学生の授業外学修時間 6時間5分 5時間14分 6時間30分

  ※2017年度では2名、学外でなく、東京工科大学内の事務局において、所定の単位時間分の有給の就業を実施した。
   そのため、学外学修プログラムに参加する学生の割合として、その2名を除いた99.34%としているが、
   就業体験を実施した学生サポートセンター(AP)は100%となる。