大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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宮崎国際大学 教育の特色を活かし発展させるAP事業 ~アクティブ・ラーニングの発展とeポートフォリオ上での学修成果の可視化への取組~

テーマⅠ・Ⅱ複合型

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 宮崎国際大学は開学以来、少人数クラスでの「アクティブ・ラーニング(AL)によるクリティカル・シンキング(CT)能力の育成」に焦点を当てた英語によるリベラル・アーツ教育を実施してきた。この教育実践を基盤に、本学が伝統的に取り組んできた教育の特色を更に発展させるよう、AP事業を展開しており、主な取組は以下の通りである。①ALの体系化及び特定の学修成果に焦点を当てたALの実践モデルの提示、②独自のCTテストの開発及び運用、③学修成果の可視化のためのルーブリックやeポートフォリオの活用を推進し、学修の質の担保及び向上のためのメカニズムの構築。本事業により、ディプロマ・ポリシー(DP)の達成に向けた主体的な学修を実現し、国際社会での多様な価値観や文化的背景を持った人々と共存・共生し、困難な時代で自律的に活躍できる人材を輩出する。

【取組のポイント】

➢特定の学修成果に焦点を当てたALの開発、そして、FD研修会やウェブサイト上での情報共有による大学全体のALの実践力の向上
➢外国語としての英語の学習者に対するクリティカル・シンキングテストの開発及び運用
➢自己評価DPルーブリックの活用及び毎年度末に作成するeポートフォリオを通じた学修の振り返りの導入
➢DPの達成を評価するルーブリックや英語力などの学修成果を可視化したeポートフォリオを活用した主体的な学修の促進
➢伝統的に実施してきた少人数クラスでのALを発展させた英語でのリベラル・アーツ教育実践例の紹介
【キーワード】
「アクティブ・ラーニングの発展」、「クリティカル・シンキングテスト」、「自己評価DPルーブリック」、「学修eポートフォリオ」

【人材育成目標】

 グローバル化社会において活躍できる人材の育成という教育目標実現のため1994年に開学した宮崎国際大学比較文化学部(2006年に国際教養学部へと改称)は、本学の建学の精神である「礼節・勤労」の人材養成方針に基づき、国際的リベラル・アーツ教育を軸とした教育を実施している。世界を舞台に活躍できる国際人として以下の素質及び能力を育成する。
1. クリティカル・シンキング(批判的・分析的思考法)をベースにした高度な思考(比較、分析、総合、評価)能力
2. 日本文化と外国の諸文化に対する広範な知識とその比較を通して得た、高い異文化理解・受容能力
3. 課題発見及び問題解決能力
4. 日英両語における高度なコミュニケーション能力
5. 情報技術活用能力

【教育上の課題】

 質保証を伴った大学教育の観点から本学のこれまでの取組を考慮すると、いくつかの課題が浮かび上がってきた。①ALにより育成されると考えてきたCT能力及びその他のAL導入による学修成果を客観的・定量的に測定するための指標の確立が不完全である。②ALを実施する上で必要な教育的技量の教員間個人差が大きいため、教育効果の高いALを一様に提供できていない。③テクノロジーの進歩によって普及が進むeラーニング等の教育をより充実させるための物的資源の環境整備が進んでいない。④語学(英語)教育カリキュラムの改善・充実を通して英語教育全般の質の向上は見られるが、学生の英語スキルの個人差を埋める手立てが明確ではない。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組>
 これらを解決するための改革構想として、本学が目指すグローバル人材の育成に必要な学修成果の可視化を試み、これを客観的に測定するための指標が必要である。特に本学が開学当初から重視しているCTと本学教育の最重要ツールである英語のスキルについては、具体的な技能及び能力の可視化を行う。そして、これまで実施してきたALを特定の学修成果に焦点を当てた技法に発展させ、FD研修等で共有し、大学全体のALの実践力を底上げする。その際、特にeラーニングを基盤とした教育技術の導入を念頭に置き、その開発と実践を全学的に進めることで、教育の質を向上させ、また保証することで、グローバル化社会に適応できる人材を育成する。これまでの具体的な取組は以下の通りである。
テーマⅠ・アクティブ・ラーニングへの取組
・教員が授業で使用するALの手法に関するデータの収集・分析、本学でのAL指導法の実態把握及び体系化
・学修成果(CT及び英語力)に焦点を当てたALの開発
・定期的なFD研修会を通じてのALの実践力の育成・促進
テーマⅡ・学修成果の可視化への取組
・アメリカのCTアセスメントテストを開発した、テネシー工科大学のワークショップで得た知見を基に、独自のCTテストを開発
・学生にCTテストを実施し、その結果の分析・検討を継続し、データの蓄積を図り、必要に応じてテストを改訂
・DPの項目を具体的に測定するために、DPの項目をCan-doの文章で40項目に細分化し、DP達成度を可視化
・eポートフォリオによる学修成果の可視化(学修エビデンスの累積及び教育目標に対する到達度の測定)
・eポートフォリオでの学修の振り返りによる主体的学修の促進
<実績・成果>
ALの発展及び学内推進
・AL手法の体系化→ALを33の技法に細分化
・学修成果(CT及び英語力)に焦点を当てたALの開発
・AL実践力の向上のためのFD研修会の定期開催
CTテストの開発及び実施
・学生への定期的なテストの実施から得たデータの蓄積
eポートフォリオ活用の広がり
・1年次末及び2年次末のページの開発及び実施
・授業での活用(キャリアデザインなど計5科目)
・英語力及びDP達成度の可視化ページの開発

【今後の取組の計画】

<取組の計画>
 これまでの取組を継続的に発展させ、学修成果を可視化したeポートフォリオを最大限に活用し、特定の学修成果に焦点を当てたALを取り入れた授業で学生が主体的に学修し、そして、グローバル社会で活躍できる人材を輩出するよう取り組む。
テーマⅠ・アクティブ・ラーニングの更なる発展・波及
・CT及び英語力に焦点を当てたALの事例集を作成し、ホームページ上で学内共有することで、教員のALの実践力を向上させる仕組みを整備する。
・ALが活用されている授業への学生の取組方法を改善するための学生グループを立ち上げ、学生の視点から、授業で展開されるALに対する効果的な取組方法をまとめる。
テーマⅡ・学修成果の可視化によるPDCAの確立
・本学独自の第2言語としての英語学習者のためのCTテストを完成させる。
・DPの達成度を測定するための40項目を本格運用し、DPの達成を促進する学修システムへと改修する。
・eポートフォリオの活用を更に発展させ、本学での4年間の学修の成果を可視化し、主体的な学修を促進する教育環境を整備し、効果的な教育を実践する。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

・授業内でのALの手法の体系化、そして、CT及び英語力の向上に焦点を当てたALの開発・実践は、特に英語で授業を実践する他大学の参考になるモデルである。
・本学独自のCTテストは、第2言語としての英語学習者を対象としており、今後更に増えると予想される英語で授業を提供する大学の参考になる取組である。
・DPを具体的なスキルとして測定し、eポートフォリオ上で可視化するDPの達成に向けた学修システムは、他大学でも導入可能である。
・ALを取り入れた授業を英語で提供する教育実践モデルは、グローバル社会で活躍する人材の育成に貢献できる。

【本取組の質を保証する仕組み】

・毎年度末に外部評価員会を開催し、教育の専門家や一般の有識者から評価及び改善への意見を頂き、それを次年度の活動に反映し改善している。また、評価委員に在学生を含むことで、内部の声も反映した大学改革を実施している。
・卒業前の4年生及び卒業生へのアンケートを通じ、DPの達成に向けた効果のある学修システムかどうかを確認している。
・本AP事業を改善する学生グループを立ち上げ、学生の視点からの質保証への取組を実施している。
具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
ALを導入した授業科目数 79.4% 92% 100%
ALを受講する学生の割合 100% 100% 100%
学生1人当たりAL科目受講数 12科目 14科目 14科目
ALを行う専任教員の割合 43人
(100%)
42人
(100%)
53人
(100%)
学生1人当たりのAL科目に関する授業外学修時間 8.4時間 9.9時間 36時間
退学率 8.8% 2.1% 1%
プレースメントテストの実施率 100% 100% 100%
学修到達度調査の実施率 92.6% 98% 100%
学生の授業外学修時間 10.6時間 10.7時間 36時間