大学教育再生プログラム(AP) テーマⅠⅡ複合型

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芝浦工業大学   「教職学協働」によるアクティブ・ラーニングの拡充と学修成果の可視化

テーマⅠ・Ⅱ複合型

事業期間:2014年度~2019年度

【取組の概要】

 建学の理念「社会に学び社会に貢献する技術者の育成」の下、学生の主体的な学びを促し、学修成果の可視化の為の以下取組を行う。一貫した教育体系に位置づけられた4年間の体系的・組織的なアクティブ・ラーニングの教育プログラム構築、学修成果の可視化と学生の学修時間のPDCAサイクルによる保証、学生の学修意欲を高める双方向システムを利用した講義科目へのアクティブ・ラーニング導入や授業外学修を促進するシラバスの充実、学修マネジメントシステム構築、それらをチェック、改善する仕組みとしての学修ポートフォリオの活用、教職学協働のワークショップ(WS)を実施する。またアクティブ・ラーニング&アセスメントオフィス開設と専任教職員の配置の他、学修に対する責任は教員のみならず職員と学生本人にあることの意識を全学構成員が共有すべく、学生の教育・学修改革への参画の仕組みを現行制度から更に発展させ、学長の下、教職学協働で取り組む。

【取組のポイント】

➢アクティブ・ラーニングの拡充
➢4年間の体系的なアクティブラーニングの 全学導入
➢授業外学修時間の保証
➢教職学協働による教育改革推進
【キーワード】
「体系的なアクティブ・ラーニング」、「学修成果の質保証」、「教職学協働」、「SCOT-Students Consulting on Teaching」

【人材育成目標】

 芝浦工業大学は建学の精神である「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を21世紀の現代に敷衍した、「世界に学び、世界に貢献するグローバル理工学人材育成」の実現に向けて、教育改革とその質保証に取り組んでいる。

【教育上の課題】

 APに採択される2014年度以前は、4年間の一貫した教育体系に位置づけられた組織的なアクティブ・ラーニング(AL)は一部の学部・学科に留まっており、特に履修者が多い講義科目へのALの導入が遅れていた。

【これまでの取組、実績・成果】

<取組>
 体系的・組織的ALの改革として、ナンバリングの全学導入のほか、各学科の学修・教育目標に基づいて講義科目と対応するAL科目を紐付け、カリキュラムマップ上でAL科目の配置を確認することで、卒業研究・制作で教育目標を達成する「ALの体系化」を実施した。また大人数の講義科目でもALを推進できるよう、ネットワーク・クリッカーを導入した。
 次に学修成果の可視化として、「S*gsot(ガソット)ポートフォリオ」を開発した。これは単位取得状況やGPA、出欠状況、TOEIC/ PROG(ジェネリックスキル測定テスト)スコアがグラフやレーダーチャートで表示されるもので、学生が自身の学修履歴・成果を確認できる。特にPROGスコアは、卒業生の進路業種(大学院進学含む)ごとのモデルスコアと比較でき、希望する進路に応じて身につけるべき能力を知ることができる。
 2017年度には学修マネジメントシステム(LMS)も刷新した。●ネットワーク・クリッカー(教職学協働ワークショップ(WS)での意見を踏まえ改良)、●到達度評価のためのルーブリック、●学修時間の登録機能などを有し、従来の授業アンケートも新LMSで実施している。採択以前に全キャンパスに導入した授業収録システムも、教員の反転授業用動画作成や、学生の授業外学修に役立てているが、特にシステム理工学部では学生の要望を受け、全必修科目を収録し復習のために視聴できるようにしている。授業外学修時間の把握には、関連するアンケート設問の回答選択肢を増やしたほか、より実態に近い時間を把握するために、学生にモニタを募り学修後に時間を記録する仕組みを検討・改良している。
 体制面では、アクティブ・ラーニング&アセスメントオフィスを開設して専任教職員を配置したほか、SCOT(Students Consulting on Teaching)の利用など、従来から進めてきた教育・学修改革への学生参画の仕組みを更に発展させた。FD・SDプログラムもALの推進と学修時間確保のために大幅に強化。2014年度からは学長のリーダーシップのもとFD・SD活動に対する学内助成において、大学の重点施策に関わる活動を積極的に助成することとした。学生の主体的学びを促進する教育改善に関わる取組に対する助成は2017年度には全体の7割を占め、ALを行う教員も8割を超えるなど、教職員・学生一体の「教職学協働」で改革に取り組んでいる。
 こうした学内の教育インフラの整備を進めるとともに、学修行動調査とPROGによるジェネリックスキルの伸長調査のほか、様々なIRを実施し、事業を進展させている。
<実績・成果>
・アクティブ・ラーニングの体系化・質保証 科目数/受講する学生/実施する教員 の増加 ルーブリックを導入したAL科目数/卒業研究の質保証・成果の可視化に関する学内基準達成学科数 の増加
・授業外学修時間の増加
・学生が主体的に参画する、教職学協働体制の発展 SCOT、Learning Facilitator、TA、SA、etc.

【今後の取組の計画】

 学修時間把握の取組は、2018年度はLMSと「LINE」を連携させたシステムによる記録の仕組みをモニタ中で、これを適切に評価し、単位の実質化のための学修時間の記録を全学展開していく。
 また「工大サミット」(愛知/大阪/芝浦/東北/広島/福岡工業大学による理工学教育活性化を目的とした連携)を通じて教育IRの情報を共有することで、教育プログラムとその学修成果に関する定量的なデータに基づく大学教育改革を、工科系大学間で連携して進めていく。

【本取組における成果と社会へのインパクト】

●海外大学とのグローバルPBL実施とその質保証 (スーパーグローバル大学(SGU)創成支援事業との連携)
●「工大サミット」による連携したIRに基づく教育改革
●2016年度 文部科学大臣認定「理工学教育共同利用拠点」として、理工学教育のモデルの全国展開

【本取組の質を保証する仕組み】

 本事業の進捗状況の把握や評価指標の適性化の判断、各項目の達成状況は、アクティブ・ラーニング&アセスメントオフィスから報告し、本学の内部質保証の責任を負う学部長・研究科長会議で点検する。また各学部・研究科、附置機関が、本事業の推進項目を100周年に向けた大学戦略「Centennial SIT Action」行動計画に落とし込むことにより、PDCAサイクルを回す。これらは年3回行われる「大学会議」などを通じ、広く学内での情報共有が図られ、進捗、達成状況についても横断的な検証が行われる。
 外部評価は、外部有識者による「大学外部評価委員会」で、本取組や実施計画に対する指標と達成度を示し、毎年度評価を受審する。同様に教職学協働の観点から、学生ボードによる意見聴取も実施している。
具体的な実施計画における指標 2014年度
(起点)
2017年度
(実績)
2019年度
(目標)
ALを導入した授業科目数の割合 30.3% 73.1% 69.2%
ALを受講する学生の割合 89.7% 99.7% 96.8%
ALを行う専任教員数 54.1% 80.2% 67.7%
学生1人当たりのAL科目に関する授業外学修時間 5 10.0 14
学生の授業外学修時間 5 9.2 24
学修行動調査の実施率 0% 100% 65%
退学率 2.1% 1.7% 1%
SCOT利用累積教員数 (制度開始時からののべ数) 20 62 70